ヤマチョウ代表/佐々木大作が農業を始めた理由が描かれています。
制作:㈱アルテ(秋田良品市庭ごえん)、ライフヒストリースタジオマッシュルーム
子どもの頃、父が米を作る姿を見ながら育ちました。しかし農業は継がずに就職。多忙な日々の中、食生活が乱れて体を壊したことで食べ物について考えるようになりました。結婚して子どもが授かると、ますます体に摂り入れる食べ物への興味が募りました。そんなとき父が倒れ、目の前には耕す人を失った田んぼが。まさか自分が就農するとは夢にも思っていませんでしたが、そこから米作りが始まりました。
(以下、当時の日記より)
就農1年目、まずは実験のため、一部の田んぼで化学肥料を土に混ぜ、除草剤で雑草を抑え、農薬で虫を退け。 米は出来た。 同時に疑問も出来た。
「この米は安心して我が子に食べさせる事ができるのか」
そのなかで父が他界したことで、米作りへの心の比重が大きく傾きました。父が長い人生かけて耕してきた田んぼで、今度は自分が独自のやり方で米を作ってみたい。自分の子どもたちに安心して食べさせられる米を。そう思うようになりました。
(以下、当時の日記より)
就農2年目、一部の圃場で、肥料・農薬・除草剤を使わずに米作りを始めた。
簡単には出来なかった。草だらけになった田んぼ。暗くなるまで草を取る日々。失敗は沢山した。米の量としては僅かな収穫(※注)だったが、自然の中で得られた僅かな米は2年目の大きな収穫となった。自然のチカラで米は出来るじゃないか。
※農薬使用時のわずか5分の1の収穫量
少しずつ出会う人が変わっていきました。消費するために生活を維持する暮らしとは、違うベクトルで生きている人たちでした。その出会いと、日々、田んぼを通して学ぶうち、自分にとって良いと感じる道が見えてきました。
そして就農3年目。
いつの間にか、仕事よりも米作りに夢中になっていました。実際は、妻と子ども3人を養う身…。葛藤しましたがついに脱サラし、自然のチカラで米を育てる道に大きく踏み出しました。
肥料・農薬・除草剤を使って、自分が食べたくない作物を作るのではなく、自分が食べたい、家族に食べさせたいものを作りたい。そして願わくば、もっと多くの人にも食べてもらいたい。
今はその一心で一人で農作業をしています。